No.9 オンリーラヴァーズレフトアライブ 本物の芸術とは

こんにちは!山本です!

今回はとうとうこの作品の紹介です。
ジムジャームッシュ映画の中で私的最高傑作、オンリーラヴァーズレフトアライブ! とにかくまず予告を見てほしいと思います 。

美しい…
あらすじは予告の通り。現代を生きる吸血鬼のお話しです。
彼らは人間の長い芸術の歴史に関わってきました。そしてそれは現代でも。
しかし、彼らにとって現代は非常に行き辛い世界でした。
なぜなら、彼らは汚れた血を飲むことができないからです。
ドラッグ、アルコール…現代の人間の地は汚れています。

誰も彼らの「本物の芸術」を理解しなくなった世界。
人間よりも長い長い時を生きる吸血鬼にとって美が失われた世界は倦怠でつまらないものでしょう。
そのことにより抑うつ的で自殺願望を抱いている【アダム】と遠い地に住むどちらかといえば達観的な恋人の【イヴ】

そしてそこに現れるトラブルメーカーのイヴの妹【エイバ】

そんな現代の吸血鬼たちのお話しです

豪華キャストと主演二人の人外的な美しさ

ティルダスウィントンとトムヒドルストン
トムヒドルストンは私が最も好きな俳優のひとりですが
実は私がこの映画を観たのはティルダもトムヒも知らない頃でした。
それでもその美しさに当時圧倒されました。
もし、本当に現代を生きる吸血鬼がいるとすれば、この二人のような人なんだろうな。と思うような、人外の美しさと倦怠感。見所です。

細部までこだわられた背景・小道具・音楽

この映画の舞台はモロッコとデトロイト
デトロイトはかつては車産業で栄えながらも経済破綻し、貧困と人口減少で荒廃の進んだ街です。その街はまさに映画の中で語られる現代の人のあり様を表しています。
長い歴史を生きてきたからこそあるであろうヴィンテージ品など、背景や小道具などをみているだけでも楽しい映画です。
また、この映画は音楽映画でもあります。美しいモロッコの音楽からジャームッシュこだわりの選曲までたのしめる作品です。

ゆったり進むのに惹きこまれるストーリー

この映画の流れは、早いカット構成・ダイナミックなアクションに慣れてしまった私たちには少し退屈に感じるかもしれません。
それはこの映画が「吸血鬼」たちの退屈で鬱屈としてでも美しい日常だから仕方ないのです。人間とは生きる時間が違うので…。
最初は眠くなるかもしれないな、と思うかもしれません。
でもそれは杞憂に終わります。そのゆったりとしたストーリー、起伏のなさが心地よくなり、逆に脳が覚醒していきます。
ジャームッシュがこの映画で語りたかったことを読み解くと、つまらないストーリーだったとは言えなくなると思います。
現代の芸術を、時代を、社会を吸血鬼の目線を通して批判しつつ、惰性に満ちた生のあり方を通して、生きるということを問われている気がします。

おかしなズレがうみだす皮肉な笑い

かつては繁栄し、誇り高き吸血鬼。そんな吸血鬼が医者の変装をし、病院にまで「キレイ」な血を買いに行くシーン。死体の処理に困るので人の首に噛み付けないと言うシーン。でもうっかり死んでしまった死体を、どうにかこうにか処理するシーン。美しい絵画のようなストーリーから続く衝撃のラストシーン。大笑いするようなシーンはありませんが、おかしなズレにうっかり笑ってしまうかもしれません。

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