今回は現在公開中のものではなく、2003年公開短編アニメ「アンダルシアの夏」をご紹介いたします。
「アンダルシアの夏」は世界三大ロードレース(グランツール)の一つ、スペインで行われるブエルタ・ア・エスパーニャが舞台です。
日本人にはあまりなじみの無いロードレースですが、世界的にはとっても人気なスポーツ。世界で最も過酷なレースといわれることでも有名です。
コチラのレースは3週間以上かけ、3200kmほど走るレースとなっています。毎日200km近く走り、3200kmをいち早く走る総合優勝を狙うチーム、毎日のステージ優勝を狙うチームと思惑は様々…。「アンダルシアの夏」は合計約20ステージあるうちの1日、たった1日を描いたお話です。
この日は「総合優勝を狙うチームが次の日に備えて体力を温存するステージ」(であるため、ステージ優勝を様々なチームが狙える)という設定。そしてこのステージは主人公である「ペペ」の故郷でもあります。
ペペはいわゆる「エース」ではありません。エースを勝たせるためにいる「サポート」の一人であり、目立った選手とはいえません。そんなペペがレースで健闘する様子を丁寧に描いていますが見所はそこだけではありません。
「ぺぺ」は苦しい思い出から故郷を捨て、「遠くへいきたい」と願います。それは物理的にではなく、元恋人と兄との結婚や劣等感など、想いが様々に詰まっているようにきこえました。
それでも故郷は変わらずペペを迎え、愛してくれる。それをレースが終わる頃、ペペは理解し、前に進みます。
見終わった後、胸を張りたくなる、でも少し切なくなる。そんな映画です。
たった47分の短編ですが、内容がぎっしり詰まっています。
絵柄をみると「おっ、ジブリかな?」と思われがちなコチラの作品ですが、じつはマッドハウス製作となっています。ジブリ出身の方が作画監督をされたことでジブリと勘違いされることが多くあるそうです(かく言う私もそうでした)
「アンダルシアの夏」は続編もあり、そちらは日本が舞台になっています。
是非合わせて御覧下さい!